小津安二郎監督

新年最初の映画は、名画座にて小津安二郎監督の映画を観てきました。
『東京暮色』と『東京物語』の2本立て。

1957年に公開された『東京暮色』は初めて観たのですが、
次女の明子役・有馬稲子が現代風のかわいらしさで、
笑顔を見せない陰のある役どころがまたぴったりで感動しました。
映画自体は小津作品のなかでも暗くて、救いどころのないストーリーなのですが、
彼女のロングコート+頭にかぶったスカーフがとても魅力的でした。
ちょっと真似してみたいな、と思ったり。
原節子の美しさは、言うに及ばすです。

『東京物語』のほうはもう何回観たか数え切れないほどですが、
観るたびに新しい発見と感動があります。
やっぱり、笠智衆と東山千栄子の老夫婦のシーンはどれも泣かせます。
家族の絆や核家族、老いや死、世代間のギャップなど、
とても深い内容を描いているにも関わらず、
いつ観ても驚くのは、すべてのカットが宝石のようにあまりに美しいこと。
小道具ひとつにもこだわりを見せた小津監督独自のセンスが光っているからでしょう。

小津安二郎はエッセイのなかで、
「自分には師匠はいない」というようなことを書いていました。
一方で、映画館に行っただけで退学という時代に、
鳥打帽をかぶって大人たちに混じって外国映画をむさぼるように観ていたというのですから、
そのころから独自の美学のようなものを構築していたんですね。

ともあれ、新年早々、一生の宝物を再確認したような気持ちになりました。
もし私がこれからお嫁に行くとしたら、
高価な宝石のついた指輪はいらないから、
『東京物語』のDVDを嫁入り道具にしたいなと思いました。
そして折に触れてこの映画を鑑賞して、だんだんと年をとっていく自分がどこで感動するのか、
香川京子が「あたしそんな風になりたくない」と言ったように、
かつて「あんな風になりたくない」と思った大人に自分がなっていないか、
そんなことを思いながら何度でも観てみたいと思いました。

映画館には『東京物語』を100回くらいは観ていそうな
中高年のオールド・ファンがたくさんいましたが、
意外にも学生さんとか若い人が多くて、これならまだまだ日本も捨てたもんじゃない
と頼もしく、うれしい気分になった今年のお正月です。

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